ヒヤリハットってそもそも何なのか知りたい
簡単にヒヤリハットなどの報告書を作れるようになりたい。
介護を続けていると誰もが悩むヒヤリハットなどの「報告書」の作成。慣れないうちはとても時間がかかるものだと思います。
今回の記事ではまずヒヤリハットを作る必要性とそれを含んだ「報告書」の書き方の簡単なポイントをご紹介。
どう書けばいいか悩むなぁ
起きてもいないのに何で重要なのかしら?
という方も読んでいけばそれとなく必要性や形になった報告書の作成の仕方が分かるでしょう。
ヒヤリハットと報告書の必要性
ヒヤリハットとは
ヒヤリハットは「ひやっとした」「はっとした」という2つを元とした言葉で医療介護のみならず様々な業種で使用されています。
介護の現場では主に事故ではないが可能性が高かった時や起きる手前のことを発見した際に使用されることが多いです。
日常生活面で言えば転びそうになって「ドキッとした」「危ないと思った」といったことがそれにあたるものです。
所謂未遂であるヒヤリハットが必要になってくる主な2つの理由が以下の通りです。
- ヒヤリハットをもとに利用者を守ることにつながる。
- 有事の際に自分や組織を守るための手段になる。
ヒヤリハットを元に利用者を守ることにつながる。
利用者をも守ることにつながる理由は非常に単純です。起きた出来事を報告書などを通してデータを蓄積していけば対象となっている方のどんな行動に危険が見え隠れしているのかが見えてきます。
目に見える情報として職員同士で共有することで意識を向けることもできますし、起きた場所が実は危ない場所なんじゃないか?という考えを持たせることで対象となった人以外の起きるかもしれない事故を未然に防ぐことが可能になります。
食事でホールへ移動する為Aさんが居室内ベッドから車椅子に移動しようと立ち上がった際に車椅子が動き出してしまい転びそうになってしまった。車椅子のブレーキがかかっていなかった。
上記の例の場合として
- ヒヤリハットの主な内容として転倒しそうになった事
- 原因としてブレーキがされていなかった為に車椅子が動き出してしまった事
2点が簡単に浮かんできます。
これらを報告し共有していけば仮にAさんが車椅子で自立だとして、「車椅子ブレーキを忘れる可能性が高いので声掛けやブレーキがされているか注意」と意識付けができますし、他の車椅子の方が入れば「車椅子のブレーキがしっかりされているか注意観察」といったように起きた人以外にも事故対策ができるようになります。
起きないことに越したことはありませんがヒヤリハットと報告をを積み重ねていくことが結果的に利用者を守ることにつながっていきます。
自分や組織を守るための手段になる。
こちらはリスクマネジメントという意味合いが強くなってきますが…。
実際にこう言った事例が存在します。
特別養護老人ホームで、ドーナツを食べた85歳の入所者の女性が心肺停止となりおよそ1カ月後に死亡した事件がありました。ドーナツを出した准看護師だった。
のちに専門家の意見を求めたところ直接的な死因は窒息ではなく脳梗塞であるとの判断でしたが、利用者への注意義務違反はあるとして裁判所は罰金20万円を言い渡した。
※更にのちの裁判での結果逆転無罪になったようです。
引用元1yahooニュース
引用元2介護のニュースサイト
ヒヤリハットと違ってこちらは起きてしまった事故になります。介護側に非がなくとも訴訟を起こされてしまえば自分も含めた職員や施設全体での社会的な信用が低下することになります。
この場合は極端に言ってしまえばヒヤリハットを含めた対策や情報共有を徹底して行っていますという証拠を残していくということになりますね。そのためにプライバシーの侵害にならない範囲でカメラを設置、センサーマットを利用していく等の対応している場所も多くあります。
個人的な意見ですが自分や施設を守るための材料を日頃から作っていく、と言い換えればヒヤリハットが必要なものかとわかるでしょう。
報告書作成のポイント
作成前に覚えておくポイント
情報を伝える際に必要な要素の単語の頭文字をとったもの。
- 「When:いつ」
- 「Where:どこで」
- 「Who:だれが」
- 「What:何を」
- 「Why:なぜ」
- 「How:どのように」
5W1Hとは報告書作成などによく使われる情報をまとめるためのポイントです。介護業界のみならず様々な業種で使用されており、テンプレなどもこれをもとに作られていることがほとんどでしょう。
この手法は日常での状況説明にも非常に役立ちますので覚えておくと非常に有効です。
実際の作成のポイントやサンプル
下記はテンプレートをもとに施設勤務時に使われていたものを作成したものです。
参考先 https://hiyari-hatto.com/hiyarihattoreport-freedl/
①~⑥は先程の5W1Hを対応する箇所に当てはめているものですのでそこを簡単に埋めていけばそれだけで形になってくるでしょう。
利用者を守ることにつながるで上げた例を当てはめて行ってみると…
食事でホールへ移動する為Aさんが居室内ベッドから車椅子に移動しようと立ち上がった際に車椅子が動き出してしまい転びそうになってしまった。車椅子のブレーキがかかっていなかった。
- Aさん(Who)
- 今回は昼食前を想定して11時50分(When)
- 居室、ベッド付近(Where)
- ベッドから車椅子に移ろうとして転びそうになった(What)
- 車椅子を再セット後に近くで見守りして移乗してもらったなど。(What)移乗の際に車椅子のブレーキが掛かっていなかった(Why)
- 移乗の際には車椅子ブレーキ確認を行う。自立の人にはブレーキを忘れないように声がけ徹底(How)
1~6を当てはめていくと報告書の9割位は完成しています。ほぼ箇条書きのレベルではありますが職場によってはこれで問題ない場合もあります。
具体性がほしいという場合はWhatに対応する4の部分を肉付けしていけばいいでしょう。ただ書く際は客観的に見た内容を記入するようにしてください。
逆に書き方に困った場合は起きた内容をそのまま記入してしまうのも手です。その後に不要な部分を消していけば良いでしょう。
原因に関しても基本的に同様です。発見時すでに転んでいた…といった場合には応援で対応してくれた人と相談して作っても良いでしょう。
再発防止策に関しては同じ内容がたくさんあって書きづらいといったことがあるかもしれませんが、気にせず記入してしまいましょう。頻繁に起きるということはどこかで徹底できていない、その他の要因が隠れているのかもしれないという気付きにつながってきます。
作成が終わったら
報告書の作成が終わったら職員間で情報共有しやすいように掲示しましょう。作成しても共有されなければなんの意味もありません。
共有する際のは個人情報保護には十分に気をつけてください。ちょっとした報告書のようなものでもずさんに扱ってしまえば義務違反になる可能性もあります。掲示や共有の仕方は施設ごとに決まりもあるでしょうから基本的には従いましょう。
私の場合は最低限出勤時、可能なら退勤時にも各種申し送りや報告書に目を通し増えている項目がないかを確認するように自分も他の職員にも徹底していました。
まとめ
今回はヒヤリハットの必要性と作成にポイントなどをお話しました。
自分たちにはちょっとしたことでも高齢者にとってはそれが命取りになる場面は介護の現場では日常のレベルでよく起こります。起きないほうが良いですがヒヤリハットの積み重ねはいずれ施設を利用する全員を守る盾となり得るので日頃から磨いていくようにするといいでしょう。
必要であれば看護分野の情報も共有することも有効です。やることに違いはあるかもしれませんが一緒に働く人ですし、何よりできるできないは別として「知っているかいないか」では報告書1つとってもかなりの違いが出てくる場合があるので。
過去の経験をもとに作成しましたがお役に立てれば幸いです。